第2回埼玉県地域クラブ活動シンポジウム
〜学校と地域で育む子供たちの未来〜    にオンライン参加しました。

コーディネーター 文教大学人間科学部人間科学科  二宮  雅也  教授からのご講演と、国の実証事業を行った県内4つの団体が成果や課題について発表し意見交換を。そのうちの1つとして、白岡市教育委員会の発表がありました。

【白岡市教育委員会の事例発表】

令和3年度より委託業者と連携し、実証事業を運動部、文化部の両方で実践。地域クラブ活動を進める根拠として、中学校教職員の働き方改革と持続可能で多様な部活動を掲げています。

地域クラブ活動に移行するメリットとしては、生徒達がより専門的な指導が受けられる事、競技種目の選択肢が増える事、先生の負担が軽減され教科指導等がより充実する事などが挙げられ、

デメリットや今後の課題として、学校管理下外になる事、受益者負担が必要なこと、経済困窮家庭への支援、別途保険加入についても保護者の理解が必要になる等、挙げられていました。

令和3年8月に【白岡市内の中学校における部活動の実態及び地域部活動への移行に向けた希望等について把握する】を目的に白岡市教育委員会教育指導課により行われた実態調査アンケートでは、市内中学1・2年生がやってみたい競技の1位はどこの中学校にもないダンス。部活に選択肢がないのでもっと増やして欲しい、このような生徒の願いに応えてあげたいという意見でした。

指導者については小中学校の教職員による兼職兼業を認め、退職教員や教員を目指す大学生の配置も今後必要と考える。教職員が本来の業務に影響が生じることなく、心身に過重な負担とならいようにするためにも、現行の特殊業務手当や兼職兼業による確定申告を含めたガイドラインの必要性を考慮。

受益者負担額と保険料について、活動内容や時間、指導者の人数や資格等によりクラブ活動ごとに会費等の額が変わってしまうことや、保険内容について、保護者の理解が必要。各種説明会を教職員、生徒、保護者、新入生保護者向け以外にも学校やPTAの会議にも出向いて実施されています。


以下私の意見です。

全国的に加速する少子化により、部活動の現場に向けても影響は既に形となっています。例えば、現在菁莪中学校にはバスケットボール、ソフトテニス、卓球、吹奏楽、美術、創作部しかありません。生徒たちに平等な教育を受けさせてあげたい。学校によっては部活動の選択肢が限られてしまっています。そこで地域クラブ活動を推進するにあたり生徒たちの選択肢が広がり、各部専門的な指導員により高い技術を学べる事は生徒たちの更なる可能性が広がりますし、学校外の新たな人間関係が築け、地域コミュニティ活性化にも繋がっていきます。

先ほどのアンケート、教職員の回答では肯定意見が多く見られる中、保護者からの回答では、疑問点や指導者に向けた不安点も見られたため、他団体の検証結果同様、保護者との信頼関係の構築は重要課題です。引き続き、説明会や会議等の継続実施は必要です。

私としては、スポーツ少年団等の他既存クラブチームの方々の気持ちの尊重や、地域クラブ活動との活動場所の調整、地域クラブ活動指導者が生徒のメンタルケアまで見てあげられるのか、休日のクラブ活動が適切に行われているかはどのような方法で把握するのか等の疑問点があり、注視していきます。

白岡市教育委員会をはじめとする、地域のスポーツクラブ関係者などで構成する地域部活動企画委員会の皆さんの多大なる協力のもと、2021年秋から部活動の地域移行を計画的に行っていましたが、全国的にも白岡が注目されるきっかけにもなりました。先程も申し上げた通り、少子高齢化の加速により更なる課題が増えていく時代に、早急な第1歩として全国に先立ち動いた関係者の皆様の行動力は素晴らしいです。未来を担う子ども・生徒たちのために教育環境整備を。スポーツや文化の活動を通して見守っていきたいと考えています。




以下、他団体様の発表を私なりにまとめました。

①「川口クラブ」ヨーロッパの地域スポーツクラブのようなコミュニティを目指し、中学校区域を4地域に分け、競技者のレベル別にチームを作り他市からも生徒を受け入れ、教員が野球の指導を実践されている野球チームです。野球振興・選手育成・未来創造・地域と共にを理念に掲げ、今回法人設立方法や費用について、今後の課題や目標について発表がありました。生徒や保護者向け説明会や小学生体験会なども積極的に実施されています。

②「武蔵丘スポーツクラブ」総合型地域スポーツクラブが大学と連携し、大学生や大学のグラウンドを活用して、サッカー、バスケットボール、陸上の指導を実装(希望する中学校教員も兼職兼業で参加)しています。今後の課題として、有料(2回目以降500円)での参加に保護者や生徒から理解が得られるか、また経済的困難家庭への補助のあり方、事故対応、大学側の試合等ピーク時の対応について挙がっていました。

③「埼玉上尾メディックス」プロスポーツチームの専門性を活かし、上尾市教育委員会の協力のもと、市内2校の女子バレー部で指導を実施されています。平日の学校部活動と休日の地域部活動を両立させていく上で、重要なこととして両方の指導者がしっかりと連携、打ち合わせできる環境づくりや、生徒に部の決まりごとを休日にも徹底してもらうこと、家庭との連携などが挙げられました。課題として保護者との信頼関係の構築や指導者の確保、成果発表の機会の創出、継続性の確保などがあがっていました。

各団体の強みや地域の特徴を活かした実証結果をご説明頂き、非常に勉強になりました。

今後も地域で育む子供たちの未来に向けて、
より良い地域クラブ活動の推進、展開に向け注力していきます。